導入事例
三重県
コロナ禍でBYOD×Soliton SecureDesktopによる全庁テレワーク環境を緊急配備
県庁DX推進に向けさらなる業務環境の進化を目指す
- 約1か月の短期間で構築・全庁展開が実現
- 端末に情報が残らないリモートデスクトップ方式で、安全に私有PCを利用できた
- わかりやすさと快適な操作感で、職員からの評判もよく混乱なく業務が遂行できた
三重県 様 イメージ図
政府の緊急事態宣言発出を受け、全職員を対象としたテレワークの必要に迫られる
三重県デジタル社会推進局 スマート改革推進課 情報基盤班 班長の岡本悟氏は、COVID-19の感染が拡大した当時の状況を次のように話す。「三重県庁ではこれまで、テレワークのうち、出張など外出先でのモバイルワークを想定した実証研究に取り組んではいたものの、在宅勤務については未検討の段階でした。2020年4月、緊急事態宣言が全国に拡大したことを踏まえ、当県においても登庁する職員の最低5割削減を目指す方針が示され、直ちに在宅勤務に取り組まねばならない状況となりました。県民へのサービスを止めずに職員の安全を守るための措置ということで、職員が安全に在宅勤務を行える環境を整備することが最優先となりました。モバイルワークに比べると在宅勤務は勤怠・労務管理など検討すべき点が多くあるのですが、今回は特別措置法(改正新型インフルエンザ等対策)の期限に合わせた試行という形で、細かい点は走りながら考えるしかなく、とにかく感染対策を前に進めることに注力しました。」
ただし、当時、スマート改革推進課が保有していたモバイルワーク実証環境と、本環境で使用できるモバイルPCは最大で数十台程度で、システム環境や端末数ともに、緊急事態に対応することは到底不可能であった。そのため、さまざまな検討を行った結果、最終的に、職員の私有PCを利用するBYOD※による在宅勤務に取り組むこととなった。
急遽、職員の私有PC利用を許可し、「すぐに導入、利用できる」リモートデスクトップを整備
こうした方向性のもと、構築ベンダーから提案されたソリューションが「Soliton SecureDesktop」であり、2020年4月末に本製品の導入を決定し、2020年6月の運用開始を目標にただちに構築を開始した。
「Soliton SecureDesktop」を選定した経緯を、岡本氏は次のように話す。「VDI基盤で仮想デスクトップ環境を構築する時間も予算もない中、庁内の業務用PCを自宅に持ち帰ることも検討しましたが、スタンドアローンに限定される使用や、情報漏えいの懸念などデメリットの方が大きいことから、実施は見送りました。緊急対応として、残された方法としては、自宅から私有PCを使って庁内の業務用PCを操作する、リモートデスクトップしかありませんでした。『Soliton SecureDesktop』は、我々の求める、すぐに導入でき、すぐに利用が開始でき、尚且つ端末からの情報漏えいを防ぐことができる、という要件を満たすソリューションでした。自治体での導入実績も豊富で、なにより信頼する構築ベンダーの提案という点で、安心感もありました。」
さらに、全職員を対象としたこれまでにない大規模でのテレワーク実施にあたっては、誰でも使いこなせるシンプルな操作性や、業務が遅滞しないパフォーマンスも求められる。岡本氏はこれらの点も「構築中のテストで、利用のしやすさと予想以上に軽快なパフォーマンスが確認できて安心しました。それまで行っていたVDIの実証実験よりも格段に動作が早く快適で、これであれば職員の満足も得られると確信しました。」と語る。
わずか1か月あまりで構築、全庁へ展開。わかりやすい快適な操作性で利用も順調に進む
構築ベンダーの尽力もあり構築は順調に進み、契約手続きからおよそ1か月後の2020年6月、全職員を対象とした「Soliton SecureDesktop」による在宅勤務が開始された。展開にあたっては、VPNや「Soliton SecureDesktop」の接続方法を記したマニュアルをイントラサイト上に提供したのみであったが、大きなトラブルもなく順調に利用が広まったとのこと。
現状、職員からも好評、と岡本氏は話す。「『Soliton SecureDesktop』によるリモートデスクトップは自身が業務利用している庁内の業務用PCをリモート操作できるという、わかりやすさが魅力です。当初は、在宅システムでどこまでの業務が行えるのか、半信半疑の職員も多かったと思いますが、職員同士で『業務で問題なく使えるよ』という声が自然に広がり、段々と活用が増えていきました。」
同庁ではテレワークをさらに根付かせるべく、2020年8月の1か月間を「県庁テレワーク・デイズ2020」と設定し、さらなる促進を図ったという。こうした効果もあり、「Soliton SecureDesktop」アプリケーションのインストール数は令和3年8月現在で約4,800(対象者約6,500)に上り、着実に利用が根付いているとのことだ。
県を挙げたDX推進への取り組み。それを支える職員の業務環境をICTで進化させる
同庁では、2021年4月、「デジタル社会形成の観点から、これまで以上に一貫したスピード感のある取り組みが必要であり、県庁の各部局で取り組むデジタル関係施策を集めた新組織をつくるべき」との鈴木英敬知事の判断の下、最高デジタル責任者(CDO)および「デジタル社会推進局」が設置された。今後、県民と共にデジタル社会実現への取り組み方針を定める「みえDXビジョン」の策定、広くアイデアを募る「みえDXアイデアボックス」の実施、県民や企業、市町などが気軽に相談できる一元窓口としての「みえDXセンター」の設置などが予定されている(令和3年8月時点)。
また、県庁DXを推進するコミュニケーション基盤の整備に向けて、「クラウドサービスの活用」「国の強靭化対策である三層対策の見直し」「エンドポイントセキュリティ」の3つの取組を柱とした検討も進められている。
岡本氏は今後の展開とソリトンへの期待を、次のように結んだ。「今回の導入でなんとかテレワークをこなせる基盤が構築できましたが、県庁DXの推進をささえる職員の業務環境としては、これが完成形では決してなく、クリアすべき課題がまだまだ数多くあります。テレワークはこれからますます浸透していくでしょう。そのためにはクラウドシフト、ゼロトラストなど、これまでにない考え方でのデジタル技術の利活用およびセキュリティ対策を、さらに積極的に進めていく予定です。ソリトンとは今回が初めてのお付き合いでしたが、使いやすいソリューションの提供により緊急事態を乗り越えることができたことに、感謝しています。これからも自治体の実情にマッチした、魅力ある使いやすい製品やソリューションの提供に、期待しています。」
- BYOD:Bring your own device、私的デバイスの活用。従業員個人保有のデバイスを業務に使用すること。
お忙しい中、有り難うございました。
※本ページの内容は、2021年9月作成時の情報に基づいています。