導入事例

高槻市役所

LGWAN端末のリモートワーク対応に向け、顔認証を導入
利便性と安全性を両立し、庁内の業務改革にも貢献する基盤を整備

高槻市役所
  • VDI環境と連携でき、マスクや眼鏡付きでも高速・高精度な顔認証を導入し、最適なユーザー認証を実現
  • 外付けICカードリーダーの携帯が不要になり、利便性が向上。端末のバッテリ持続時間もアップ
  • 全庁的な顔認証の利用促進・移行に伴い、ICカードに関するサポート業務の負担は徐々に減少

高槻市役所様 イメージ図

LGWAN端末のリモートワーク対応で、既存のユーザー認証環境のリプレイスを検討

 大阪と京都の間に位置する高槻市は、双方への交通アクセスの良さ、子育て支援や教育環境の充実など、住みやすさと働きやすさを兼ね備えた街として人気がある。「将棋のまち」としても知られ、摂津峡をはじめとする豊かな自然や史跡を活かした観光施策、情報発信も積極的に展開している。

 高槻市役所でのLGWAN端末の利用者は3,234名(2024年5月末現在)。情報化施策全般を担当するDX戦略室は21名で、ICT基盤の整備・運営、セキュリティ対策、情報資産の活用推進などを行っている。近年は庁内システムの内製化やDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成にも力を入れている。

 高槻市役所では2006年に、文書管理システムの導入に合わせてソリトンシステムズのSmartOn NEOを採用。その後、SmartOn IDにバージョンアップを行い、ICカードとID・パスワードを組み合わせた二要素認証システムとして運用を続けてきたが、今回、庁内のLGWAN接続系に仮想デスクトップ環境(VDI)を導入し、リモートワーク対応を進めるにあたってICカード認証の入れ替えの話が挙がった。

 総合戦略部 DX戦略室 主査の前氏は、その背景を次のように話す。

 「職員がリモートワークで庁内の端末を利用する時は、まずVDIにログインし、それから端末側で認証プロセスが起動します。既存の仕組みでは、その時にICカードを端末にセットしておく必要があります。しかし本人はそこにいませんから、あらかじめ端末にICカードをセットしたままということになるので、セキュリティ上のリスクにつながる懸念がありました。そこで、リモートワークの利便性と、適切なユーザー認証による安全性を両立する解決策として、新たな仕組みの導入を考えました。そこで注目したのが、顔認証です」

 総合戦略部 DX戦略室 主任の辻野氏は、庁内の業務改革も顔認証の検討推進に関係していると話す。

 「全庁的にペーパーレス化を進めており、会議などで端末を持ち運んで使う機会が増えています。その時に外付けのICカードリーダーとICカードを都度携帯するのは不便だと、職員から声が上がっていました。また、ICカードリーダーの故障やICカード自体の不具合も相応にあり、サポート業務の負担削減も課題でした」

VDI環境に対応でき、マスク着用でも高速・高精度なSmartOn IDの顔認証を採用

 高槻市役所が顔認証システムの選定を始めた2022年は、運用中のSmartOn IDの更新時期でもあった。そこで他社製品を含めた検討を行い、ソリトンシステムズにも改めて提案を求めたという。リモートワークで使用するVDI製品と支障なく連携できることを第一の要件として各製品を比較し、最終的にSmartOn IDの顔認証を採用することに決めた。

 総合戦略部 DX戦略室の中尾氏は、顔認証の精度が決め手になったと話す。

 「コロナ禍でマスクの着用が必須の時期でしたが、SmartOn IDの顔認証はマスクや眼鏡を着けたままでも精度が高く、速度も満足できるものでした。ソリトンからも、新しい顔認識エンジンに対応して精度と速度が向上していること、すでに公共施設などで実績があることをお聞きして、これなら大丈夫だと判断しました」

 SmartOn IDの10年来のユーザーとして、ソリトンシステムズへの信頼が醸成されていたことも大きいと、前氏は付け加える。

 「既存の認証システムがSmartOn IDでしたので、移行のしやすさ、システム的な負担の少なさを見込めた点も採用の理由です」

 2022年8月に仕様検討に着手し、2023年1月にSmartOn IDを更新。2023年9月から顔認証の運用を開始した。トラブルなく移行することを最優先に進め、ソリトンシステムズの支援もあって滞りなく作業を終えられたと辻野氏は話す。

 「ソリトンの専任の技術者が対応してくれて、こちらの懸念や作業上の問題点を速やかに解決いただけました。両者のチームワークはとても良く、安心して取り組むことができました」

全庁での利用に向けて移行推進中。セキュリティだけでなく、運用時のメリットを実感

 SmartOn IDの顔認証は2023年9月から運用している。リモートワークでVDIを介した処理でも遅延がなく、庁内の利用においても職員の抵抗感は少ないとのこと。

 総合戦略部 DX戦略室の福本氏は、ユーザーの立場でSmartOn IDの顔認証の良さを実感したと話す。

 「顔認証の運用が始まったときは他の部署にいまして、一人のユーザーとしてSmartOn IDの顔認証を使ったのですが、非常に精度が良くて驚きました。マスクをしていても、顔の目元など部分的な特徴をうまく認識してくれます。今は運用する立場として、専用のログビューワーで利用状況をすぐ確認できるなど、管理者の使い勝手の面でもSmartOn IDの良さを感じています」

 中尾氏は、現在の利用状況と今後の見込みを次のように話す。

 「リモートワークでは職員が使っているPC環境がさまざまなので、認証時の挙動に細かな違いがあることに注意しながら、顔認証化を進めている状況です。庁内の普及率はすでに5割以上ですが、カメラが備わっていない端末がまだあるため、顔認証とICカード認証は並存しています。今後は全庁で顔認証に移行する予定です。それに伴ってICカードリーダーの故障対応などサポート業務の負担も減っていくでしょう」

 顔認証の利用で外付けICカードリーダーが不要になると、端末の運用や保守でも恩恵があると前氏は話す。

 「外付けICカードリーダーの有無で端末のバッテリ持続時間が変化するかを検証したところ、平均10%の差を確認できました。顔認証ならバッテリの持ちが良くなり、端末を持ち運んで使う時の不便さが減るわけです。この検証結果を踏まえて、庁内でも顔認証への移行を推進しています」

顔認証の活用促進と共に、システムの内製化やDX人材の育成に取り組む

 高槻市役所では、SmartOn IDの顔認証を活用しつつ、庁内ICT環境の利便性と安全性を向上させて、職員の働きやすさや行政サービスの充実を図っていくという。その一環として、システムの内製化やDX人材の育成を積極的に進めたいと福本氏は話す。

 「オープンソースソフトウェア(OSS)やローコード・ノーコードツールも活用して、必要なものを自分たちで作り上げていくというスキームを広げていきたいと思っています。それがDX人材の育成にもつながっていくでしょう」

 前氏は、庁内のシステムを内製化できる部分と、ベンダーに頼る部分との見極めが重要と話し、ソリトンシステムズとの関係は理想的な状態と捉えている。

 「フットワークの軽さやコストメリットはもちろん、試行錯誤を通して生まれる自覚や責任感を育むうえでも、内製化の取り組みは大事にしていきたいです。一方、ベンダーに任せたほうが適切な部分に、ソリトンの製品はうまくはまっていると感じています。製品開発の視点、要望や改善点に対するフィードバックの早さ、対応力の高さは、私たちの目指す方向性と相通じるものがあり、とても相性が良いと思っています」

 そして前氏は、ソリトンシステムズへの期待を込めて、次のように結んだ。

 「世の中にはさまざまな製品やソリューションがありますが、ソリトンはその中でもピンポイントな課題を的確に突いて、ユーザーのニーズに応えている印象です。これからも自社開発ならではの強みを発揮して、今の路線を進み続けてくれることを期待しています」

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2023年8月作成時の情報に基づいています。

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