導入事例

山口県庁

業務効率化・生産性向上を目指しネットワーク分離環境を刷新
αモデル環境で、LGWAN接続系端末からの安全なインターネット利用を実現

山口県庁
  • 安全かつ利便性の高いセキュアブラウザーに変更し、オンライン会議も快適に行える環境を実現
  • 専用のファイル転送ツールと無害化製品の自動連携により、ファイル取り込み時の安全性も確保
  • 大掛かりな変更が不要なソリューションで、αモデルの運用を継続しながら業務の効率化と生産性の向上を達成

山口県庁 様 イメージ図

オンライン会議の利用増加で LGWAN接続系端末のインターネット利用環境の見直しが必要に

 「ふく(福)の国、山口」として豊かな食や伝統工芸、歴史巡り、観光体験などさまざまな魅力を有する山口県。瀬戸内海沿岸の臨海工業地帯には多くの企業が立地し、全国有数の工業県としても知られる。近年は人のつながりや安心して暮らせる地域の実現に向けた施策を多数打ち出し、2024年からは「こどもや子育てにやさしい休み方改革」を始めている。

 約5,500名の職員が勤務する山口県庁では、「やまぐちワークスタイルシフト」という新たな働き方改革を進めている。職員の意欲や働きがいを高め、ひいては行政サービスの向上・創出につながる重要な取り組みとして、関連するICT環境の整備も促進。職員一人一台PCのモバイル化をはじめ、業務のデジタル化やペーパーレス化、職員のデジタルスキル向上、リモートワーク・モバイルワークの実現に加え、生成AIの効果的な活用も模索している。

 職員の業務はLGWAN接続系のシステム利用が主で、インターネット接続環境における業務は外部サイトの検索・閲覧や動画配信など比較的負担の少ない利用だったが、2020年からのコロナ禍を経て、状況が大きく変わった。

  総合企画部 デジタル推進局 デジタル・ガバメント推進課 ネットワーク班 主任の田中清弘氏は、当時の状況を次のように話す。

「コロナ禍になってオンライン会議の機会が増え、業務におけるインターネット利用の割合が一気に増加しました。それまでも動画や音声がうまく再生できないなど不便なことがあったので、インターネット利用環境の改善は検討事項の1つでしたが、ニーズの変化に的確に応えるべく改めて見直すことになったのです」

 総務省が示す自治体ネットワークの三層モデルには、インターネット環境との連携を考慮したβモデルやβ´モデルがある。山口県庁は今回、従来から運用しているαモデルの継続を決定した。移行の労力やコストを含めた総合的な判断と田中氏は話す。

「βモデルへの移行も検討しましたが、2020年当時は採用している自治体が少なく、参考になる事例がなかったので、少人数で庁内のICTインフラを運用管理している私たちがすぐに対応するのは難しいと判断しました。また、今回導入したソリトンのソリューションのように、αモデルのままでもインターネット環境の改善といった課題を解決できる選択肢が揃ってきていたことも理由です」

 こうした背景もあり、αモデルを継続しつつ、安全性・利便性高くインターネットを利用できる新環境の検討を開始。その解決策のひとつとして候補に挙がったのが、ソリトンシステムズのSoliton SecureBrowserおよびFileZen Sだ。

 Soliton SecureBrowserは、端末内に生成した隔離領域で動作するブラウザーアプリケーションだ。端末のローカル領域に影響を与えない作りになっているため、汎用ブラウザーと使い分けることで、インターネット専用ブラウザーとして活用できる。FileZen Sは、分離ネットワーク間の安全なデータ受け渡しを実現するファイル転送ツールだ。ファイル無害化製品と自動連携することができ、移送時における脅威の侵入を防止する。いずれも大掛かりなサーバー導入や構成変更が不要なため、必要十分でリーズナブルな選択肢として、国産製品ではシェアNo.1※1のインターネット分離ソリューションとなっている。

※1:ITR Market View:エンドポイント/マイクロセグメンテーション/無害化/Web分離/CASB/CNAPP/XDR/ZTNA市場2024 より

庁内での実証を経てソリトン製品の導入を決断。スムーズに導入・運用を開始

 インターネット分離に関する製品の選定は、ブラウザー型製品のほかにクラウドプロキシや仮想デスクトップ(VDI)など、さまざまな製品や手法を俎上に乗せ、システムベンダーである株式会社NTTデータ中国と共に庁内での実証(PoC)を進めたという。
 その結果、最終的にSoliton SecureBrowserとFileZen Sを導入すると決めたのは、導入のしやすさ、使いやすさ、コストなど、さまざまな面で最善の選択だったからだと田中氏は話す。

「2020年末に実証のご提案があり、翌2021年早々に打ち合わせした後、実証環境を構築するという具合に順を追って進めていきました。年度をまたぎ、こちらの対応に間が空いてしまうこともありましたが、ソリトンの対応は親身で、実証にも伴走いただけたのは本当に助かりました。担当いただいたエンジニアの方が山口県のご出身、在住で、人の往来が憚られるコロナ禍の時期に直接県庁で相談できたのもよかったです」

 ソリトンシステムズと緊密にやり取りできたことも後押しになったという。また、インターネット接続系端末の業務改善だけでなく、LGWAN接続系へのファイル取り込みにおける安全性確保など、抱えていた多くの課題に対しソリトンの提案は包括的に対応できていた点も決め手となった。
 全庁への展開は、職員へインストーラを配布し、各々がPC端末に導入する形で進めた。田中氏は簡易的なマニュアルの作成や職員へのサポートも行い、予定通りに運用を始められたと当時を振り返る。

「通常なら職員を集めて研修を行うところですが、コロナ禍の時期でしたので段取りを変えました。事前の実証を通じて、特に講習しなくても職員が自分でインストールして使えると見込めたこともあります。Windows OSの細かなバージョンに合わせた対応や、操作がうまくできない職員へのサポートなどはありましたが、ソリトンの担当者にも支援いただいて、おおむね順調だったと感じています」

安全なインターネット利用環境と適切なファイル無害化処理を実現。安定稼働で運用面も高評価

 2022年3月から全庁で運用を開始したSoliton SecureBrowserとFileZen Sは、LGWAN接続系端末からの安全なインターネット利用という、期待していた効果を発揮している。田中氏は、「使い勝手は汎用ブラウザーと大きく変わらず、約5,500名のユーザーがいる環境でも安定し動いている」と話す。

「新たな製品を導入する事で業務効率に影響が出ないか不安がありましたが、既存のWebブラウザーと遜色なく使えています。また、山口県庁ではオンライン会議にMicrosoft Teamsを利用していますが、セキュアブラウザー上でも支障なく参加できています。YouTubeの動画配信や視聴も問題ありません」

 FileZen Sによるファイル転送と無害化については、エクスプローラによる通常のファイル操作とは勝手が異なるものの、使いやすさにこだわったUI画面により、インターネット接続系端末からLGWAN接続系端末へファイルを取り込んでいることが直感的に分かるようになっている。結果的に、庁内のセキュリティを保つ意識が職員に浸透していると田中氏は評価する。

「FileZen Sは、ファイルの所在や手順が画面上でわかるように設計されているので、職員も自分が行っていることを把握しやすいと思います。ファイル無害化を適切に行えるようになり、インターネット環境からLGWAN接続系の端末へ取り込んだファイルに起因するセキュリティインシデントは0件という状況です」

 山口県庁ではほかにも、一部の業務に対して、PC端末上に生成したセキュアな隔離領域でさまざまな業務を完結できるWrappingBoxを活用している。同製品はブラウザーだけでなく、OfficeアプリやWeb会議等のデスクトップアプリまで、端末ローカルと隔離された領域で利用することができる。また庁内LANの無線化に伴う認証強化にはRADIUSアプライアンスであるNetAttest EPSを用いるなど、ソリトンシステムズの製品を多数導入しているが、いずれも安定稼働していると田中氏は笑顔を見せる。

「ソリトンの製品が入ったことでインターネット業務周りの課題を解決でき、庁内業務の生産性向上に成功しました。ICTインフラについても、高い安全性が実現できています。また運用管理の立場では、導入以降すべての製品が安定して稼働していることを高く評価しています」

庁内ICTインフラの強化や 自治体ネットワーク更改など 将来を見越した対応を継続

 山口県庁では、これからもインターネット環境やクラウドサービスを利活用していくことを念頭に、ICTインフラの改善やセキュリティ強化を進めるという。自治体ネットワークの構成についても、国の指針や情勢を踏まえて適切に検討していくと田中氏は話す。

「クラウド活用の検討も進めており、今後は認証基盤の重要性がより高まると思っています。クラウドをふくめた認証基盤の整備ができるSoliton OneGateのようなソリューションも検討していくことになるでしょう。自治体ネットワークに関しては、2030年までに現在の三層モデルからゼロトラストモデルへ移行するという話も出てきているので、5年後を見越した対応が必要になると理解しています」

 田中氏はソリトンシステムズへの期待を込めて、次のように結んだ。

「情報部門として多くのベンダー様とお話しする機会がありますが、ソリトンは営業の方も技術の方も、さまざまな相談事に親身に対応いただいて感謝しています。お互いにフランクに話せる関係を築けていると思いますので、これからもご支援いただければありがたいです」

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2024年9月作成時の情報に基づいています。

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