導入事例

山梨県南部町 DX推進課

さらなる加速が求められる自治体DX
イベントの生配信を実現し、町の魅力を内外へ発信

山梨県南部町 DX推進課
  • 地域振興を目的とし、伝統行事をリアルタイム配信
  • コンパクトなウェアラブルカメラで、山間部から安定した映像配信を実現
  • 防災・減災への活用も検討中、将来的には AI 連携も視野に

山梨県南部町 DX推進課様 構成図

南部の火祭り

 火祭りの起源は江戸中期(元禄時代)と推定され、かつては富士川下流域各地で行われていた。中でも『南部 の火祭り』は、伝統行事として大規模に伝承されている 祭り。

 オープニングを飾る『投げ松明』、『大松明』の炎が仏様の道明かりとなり、『灯篭流し』が厳かに行われ、一斉に点火される『百八たい』が富士川の両岸で燃え上がると、祭りはクライマックスを迎える。近年は、屋台や花火の演出も行われ、県内外から約3万5千人が参加する一大イベントとなっている。

 今回配信を企画した理由、システム選定に至るまでの経緯、祭り当日にSmart-telecasterを利用した所感、配信への反響を南部町のご担当者様に伺った。

 企画立案から当日の運営まで携わったDX推進課の三枝氏は次のように話す。

「町が誇る『火祭り』を町外の方にもご覧いただきたいという想いに加えて、町内からも、『足が痛くて現地に行けない。昔から行っていたのに、寂しい思いをしている。』という声を聞きました。また、当日は職員が各自の担当業務に従事するため、現場を離れることができません。そのため、ステージの様子を実際に見たことがない職員もいることを知り、リアルタイムで発信できたら良いなと思いました。それが企画のきっかけです。
 リアルタイムの映像配信は初の試みでしたので、どういうシステムならば負担が少なく実現できるのか、情報収集に取り掛かりました。撮影機材に関して、最初は固定カメラを検討しましたが、複数の場所でイベントが行われる祭りの特性上、固定ではリアルタイムに伝えられない。『撮影者がフットワーク軽く動けるカメラと、スムーズに配信できるシステム』を採用しようという判断をしました。
 システム検討を進める中、山梨県でデジタル関係の展示会が開催されまして。参加した職員が持ち帰ってきたZaoウェアラブルのパンフレットを見て、『コンパクトで良いな。』と。
 また、パンフレットには官公庁への導入、災害時の使用事例も記載されていたことから、『すごくしっかりした製品なのかな。』という印象を持って、ソリトンシステムズにコンタクトを取りました。」

 システム選定や当日の撮影を担当し、配信を取り仕切った林氏は次のように話す。

「火祭りは川沿いで開催するイベントのため、有線回線が整備されておらず、LTE回線が不安定な場合が想定されます。そういった環境下でも“持ち歩いて配信できる端末“を探す中、ちょうど訪れた展示会で、Zaoウェアラブルを実際に見て触って、軽くて良さそうだなと。最初に検討していた他社製カメラはSIMが入っていなかった一方で、ZaoウェアラブルはSIMも備えていたので、この一台で配信可能となる点も導入の決め手になりましたね。」

 当日の撮影カメラは2台体制。本部に設置した固定カメラで俯瞰映像を、Zaoウェアラブルでイベント会場の映像を移動しながら撮影し、分庁舎の受信PCでYouTube配信を行った。

 今回の配信を終えて、三枝氏・林氏は次のように振り返る。

「初めてライブ配信をできたことが、まずは一歩かなと思っています。町内外の方に見ていただけたのはもちろんのこと、職員が担当場所にいながら、自分のスマホから配信映像を確認することで、『今こんなことをやっているタイミングなんだ。』『このイベントが終わると、またこの駐車場が混むかな?』という判断の指標になったのではないかと。使い勝手の面では、2台のカメラ(固定カメラとZaoウェアラブル)の映像を、一画面で管理できたのは便利でした。管理画面(Zao Cloud View)は、直観的でわかりやすいインターフェイスですね。」(三枝氏)

「配信を検討した際、祭り当日は限られた人数の職員で対応するために、撮影専門のスタッフを配備することが難しく、大きな撮影機材を使えないというジレンマがありました。その点、Zaoウェアラブルは軽くて小さく、使い方もわかりやすい上に、アタッチメントで装着すれば両手が空く。一人で移動しながら撮影するのに適していました。ナイトモードがあるので、夜間の撮影もスムーズでしたね。」(林氏)

 今回の配信への反響としては、『祭りには行けなかったけれど、花火の映像が見れて良かった。』という町内からの声や、『舞台の様子を初めて見ることができ、対応にも役立った。』という役場職員からの声が寄せられたとのこと。

今後の展望について

 今後考えられるZaoウェアラブルの活用シーンについて、三枝氏・林氏は次のように話す。

「火祭り以外にも地域のイベントがいくつかあるので、またリアルタイム配信を企画したいですね。その他、地域の防災・減災にもZaoウェアラブルを利用できればと考えています。防災訓練時に、Zaoウェアラブルを装着、現場を撮影して、その現場の映像を待機している職員に見てもらったり、発災時には救援対応に利用したり。DX推進課としては役場内で横断的に業務を行っているので、各担当課と相談・連携して、町民の皆さんの暮らしに役立てたらと思います。」(三枝氏)

「南部町の地域は、山が80%~90%近くあり、ドローンの大々的な活用が難しい事情があります。そのため発災時には、現地に人が実際に出向いて被害状況を確認し、対策本部に情報共有する必要があります。Zaoウェアラブルを今回使ってみて、そういった場合に使い勝手が良さそうだと思いました。」(林氏)

 最後に、DX推進について三枝氏はこう結んだ。

「人口減少の流れの中で、業務効率化にDXは欠かせません。特に、AI技術の活用を真剣に考えなければいけない時が来ていると感じています。
 例えば、業務にあたり、その作業工程を色々なパターンで撮っておいて、それをAIに分析させて、傾向や強化すべき点が明らかになるような。そしてAI学習に必要な情報を集積するためには、カメラ映像の活用が必要になってくるものもあると思います。」

 AI 技術の活用も見据えつつ、南部町のDX推進は続く。

 ソリトンシステムズは、DXに向けた課題に取り組む自治体の力となれるよう、より一層、製品・サービスの拡充を図っていく。

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2024年11月作成時の情報に基づいています。

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