導入事例
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
大手自動車損保会社が業界初となるライブ映像を使用した見積算定に挑戦
Smart-telecasterがiPhoneによる事故車撮影を支援し、
迅速な修理の実現とコスト削減に大きく貢献
- ライブ映像による適切な損傷診断を行い、正確な損害認定を実現
- "視界共有"で意思疎通が進み、業務のリードタイム短縮
- 映像を確認することで立会を減らし、人件費や交通費を大きく削減
契約者へのサービス改善に向けた課題見積業務の精度向上とBP業務の効率化
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)は、保険料収入で国内最大、世界でもトップクラスのMS&ADインシュアランスグループの中核企業で、あいおい損害保険株式会社と、ニッセイ同和損害保険株式会社が、2010年10月に合併して誕生した。
「現在当社は、“待たせないサービス” 、“全ての契約者への親身な対応”、“プロフェッショナルの支援”を軸とした『全力サポート宣言』を掲げ、全社を挙げてサービス改善に努めています。その中で大きな課題となっていたのが、事故車両の見積業務の精度向上と、BP(板金塗装)業務のリードタイム短縮によるCS(顧客満足度)向上でした」そのように語るのは、あいおいニッセイ同和損保 損害サービス事業部 自動車グループ グループ長の高橋 浩一氏だ。
一般的に、保険会社は事故車両の損害額算定に大きく3つの確認手段を用いる。それが、立会(たちあい)、デジタル画像、紙の写真だ。立会とは、一定の損害額を超える修理費用が必要な事案や、事故報告の整合性に疑いのある事案などにおいて、保険会社の技術アジャスター(物損事故調査査定員)が修理工場などに出向き、直接損害を確認する方法である。それ以外の、中・小規模な事故の場合はデジタル画像による判断か、紙ベースの写真を郵送して損害認定を受ける。
それらの方法により、部品交換か板金修理かの判断、塗装範囲の同定、修理工場に支払う工賃の算出、時価額(全損の場合の車両現在価値)の判断などを行ったうえ、見積書を作成し、アジャスター、修理工場間で協議する。それを協定という。
「問題は、損害確認が行われない限り着工承認 が下りず、修理工場は修理を開始できない点にあります。修理開始から納車までのリードタイムが長くなることで、お客様の不満や調査コストの増大にもつながりかねません」(高橋氏)
また、2013年10月から自動車保険のノンフリート等級別料率制度が大幅に改定され、契約者は事故後に従来よりも高い保険料を負担するようになった。そのため、自動車販売店に対して迅速な修理見積を求めるケースも増えているという。正確な見積能力を有するスタッフが少ない自動車販売店にとっては大きな悩みとなっていた。
保険会社と自動車販売店がライブ映像でつながるリアルタイム映像システムにSmart-telecaster採用
そこで、Smart-telecasterの販売パートナーであるキヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は事故車両の損傷状態を、自動車販売店とあいおいニッセイ同和損保の技術アジャスターライブ映像でリアルタイムに共有、 その場で損害確認できる「視界共有システム」を提案。映像のクオリティや扱いやすさのテストを重ね、ソリトンシステムズの「Smart-telecaster for iOS」(以下、Smart-telecaster)を採用した。
「Smart-telecasterは、iPhoneだけで運用できるにも関わらず、映像品質も高いレベルで安定している上に、他社のシステムと比べて圧倒的に使い勝手が優れていました」(謝氏)
修理工場のスタッフや自動車販売店の社員がマニュアルを見なくても簡単に取り扱える操作性や、携帯電話の電波が届く環境にあれば映像を送信することができる接続性にも注目。携帯性に優れ、短時間に手間なく撮影できるiPhone が望ましかったという。
映像を確認することで立会を不要にしリードタイム改善や人件費圧縮を実現
あいおいニッセイ同和損保とキヤノンMJは、 視界共有システムの実用性を検証するため、昨秋約1ヶ月の間、大手自動車販売店の協力を得ながら損保業界初となるトライアルを実施。
謝氏は、本システムを通じてあいおいニッセイ同和損保のメリットを3つ示す。
1つ目は、適切な損傷診断による正確な損害認定。映像を活用することで、事故による損傷の範囲も客観的に特定できるので、適切な損害額の算定が可能になる。
2つ目は業務のリードタイム短縮。視界共有システムのおかげでリアルタイムによる修理工場との意思疎通が進み、音声で細かく指示を与えることで、見積から協定まで短時間に実施できることが明確になったという。
3つ目は、立会調査省略による効率化。映像を遠隔で確認することで現地での立会が不要になり、人件費の削減、代車貸与などの間接損害の圧縮などにつながるという。
また、自動車販売店(修理工場)にとっても、視界共有システムの活用によりBP 業務全般の効率化とリードタイムの短縮化が図られ、顧客満足度の向上、BP業務拡大による収益性の改善などへの期待も大きい。
動画を活用したリアルタイム協定は国内の自動車損保業界では初の試み
トライアルは両社にとって大きな収穫があったという謝氏。視界共有システムは従来の損害確認業務を画期的に改善できるシステムであり、損保業界全体で広まればさらなる業務効率化が促進するだろうと話す一方で、「現状は当社の損害査定システムと連携していないため過去の事案を管理できず、異なる端末を操作しなければなりません。今後は、両方を1つのシステムに統合することで、映像情報と保険契約番号のデータベースをリンクさせ、契約者と対象車両の過去情報を紐付けして管理することが理想です」と答える。
動画を中継してリアルタイムに協定を実施する仕組みを導入したのは、国内の自動車損保業界では初めての試みとなった。その成功の裏にはソリトンシステムズとキヤノンMJの技術者のサポートが欠かせなかったという高橋氏。視界共有システムの可能性は当初考えていたものより大きいと予測する。
「地震や台風、大雪など大規模災害が発生した場合、多くの契約車両に被害が発生します。東日本大震災の時も損害調査をいかに進めるかで悩みました。そんな危機的状況の中でも、Smart-telecasterを使った視界共有システムがあれば、社員が総出でお客様を訪問し、迅速に損害調査を進めることで一刻も早く保険金をお支払いすることができるようになるでしょう。その心強さを今非常に大きく感じています」(高橋氏)
お忙しい中、有り難うございました。